前置き
今回は、「投げ方を直してもマイナスチルトが治らないなら、フィット側に原因があるのではないか」という話です。
きっかけは自分の実体験です。
本業が忙しく、しばらく投げない期間がありました。そこから久しぶりに投げた時、急にフィンガーにトラックがかかるようになり、フルロール気味+マイナスチルトという状態になりました。
最初は当然、投げ方の問題だと思いました。実際、フルロールの方は投げ方の調整でかなり改善しました。
ただ、マイナスチルトだけは全然治らなかったんですよね。それどころか、むしろどんどん悪化していきました。
この時点で、「これは投げ方だけでは説明しきれないのではないか」と考えるようになりました。
そこで気になったのが、指の長さ差とフィットです。
特に中指と薬指の長さが違うのに、同じ前提でフィンガーを作ってよいのか。短い指側に段差をつけた方が、結果的にボールの後ろへ手を置きやすくなるのではないか。今回はその考えを整理していきます。
※あくまで自分の経験を起点にした考察です。万人にそのまま当てはまる話ではありませんが、少なくとも「投げ方では治らない違和感」がある人には、見る価値がある論点だと思っています。
先に結論
結論を先に書くと、投げ方を修正してもマイナスチルトが改善しない場合、持ち方やフィットを疑う価値があります。
その中でも、指の長さ差によって手の位置がズレているなら、短い指側に段差をつけるドリルは一つの選択肢になりうると考えています。
今回言いたいのは、「段差をつければ絶対に正解」という話ではありません。
投げ方起因の問題と、持ち方起因の問題は分けて考えた方がいいということです。
フルロールは治ったのに、マイナスチルトだけが治らなかった
ここが今回の出発点です。
しばらく投げていなかった影響もあって、復帰直後はフィンガーにトラックがかかるようになりました。いわゆるフルロール気味で、回転軸もかなり寝ていました。
この状態なら、まずフォームを疑うのが普通だと思います。実際、自分もそうでした。
そしてフォームを見直した結果、フルロールの傾向は改善しました。これはつまり、フルロール側には投げ方の要素があったということです。
ただし、マイナスチルトだけは話が別でした。
フルロールが改善した後も、マイナスチルトは残りました。しかも残るだけではなく、時間が経つほど強くなっていく感覚がありました。
この経験から思ったのは、フルロールとマイナスチルトは、必ずしも同じ原因で起きているわけではないということです。
投げ方の修正で治る部分がある一方で、別の要因が残っていることもある。その別要因として、持ち方やフィットを考え始めました。
マイナスチルトの原因は投げ方だけとは限らない
マイナスチルトというと、どうしても「回し方」「手首の向き」「体の使い方」の話になりやすいです。
もちろんそれは間違いではありません。実際、投げ方で軸傾きはかなり変わります。
ただ、投げ方だけで説明しようとすると、どうしても苦しくなるケースがあります。
例えば今回のように、
- フルロールは改善した
- でもマイナスチルトだけ残った
- しかも悪化していった
という流れです。
この場合、少なくとも「全部フォームのせい」とは言い切れません。
そうなると見るべきなのは、
- ボールを持った時に手がどこへ置かれているか
- どちらの指が強くかかっているか
- 抜けのタイミングに左右差がないか
- 無意識に指や手をねじって帳尻を合わせていないか
あたりです。
つまり、「投げる前の時点でズレていないか」を見る必要があります。
持ち方がズレると、リリースポイントはズレるということ。
自分の中で一番しっくり来たのはここでした。
気づいた時には、ボールを持つ段階で手が少しネガティブアクシスポイント側へ寄っていました。言い換えると、自分が思っているよりも、リリース時に手がボールの後ろにいない状態です。
こうなると、リリースで必要以上にボールを拾いに行きやすくなります。
ボールが手を追い越してしまう。
結果として、
- 回転軸が寝やすい
- マイナスチルトが強くなりやすい
- フィンガー付近にトラックが出やすい
- 指抜けに違和感が出やすい
という流れになっても不思議ではありません。
ここで厄介なのは、無理に小指側へ指をねじると、一見トラックがきれいに見えることがあることです。
ただ、自分としてはこれはあまり良い解決に思えませんでした。トラックが整っても、指がねじれているなら、それは自然な持ち方ではないからです。
大事なのは、無理に合わせにいかなくても、自然に手がボールの後ろへ収まる状態を作ることだと思います。
そのズレを生む要因の一つが、指の長さ差ではないか
ここからが今回の本題です。
多くの人は、中指と薬指の長さがまったく同じではありません。たいていは薬指の方が短い人が多いのではないかと自分は考えています。
それなのに、両方の指を同じ前提でフィットさせると、どこかで無理が出る可能性があります。
同じ深さ、同じ感覚、同じかかり方を前提にしても、そもそもの指の長さが違えば、実際の圧のかかり方や抜け方は揃わないかもしれません。
その差が小さければ問題にならないかもしれませんが、違和感として表面化する人もいると思います。
そして、その違和感を人は無意識に補正します。
少し手を寄せる、少し指をねじる、少し拾いにいく。そういう小さな補正の積み重ねが、最終的にマイナスチルトやトラックの乱れとして出ている可能性はあるのではないか、というのが今の考えです。
短い指側に段差をつけるという考え方
そこで出てくるのが、短い指側に段差をつけるという発想です。
例えば中指を基準にして、薬指側を少し下げてドリルする。そうすると薬指側の距離感は変わります。
ただ、単純に穴の位置を下げるだけではなく、ピッチもセットで考える必要があると思っています。
自分のイメージとしては、
- 中指は少しリバース気味
- 薬指はそれより浅いリバース、あるいは相対的にフォワード寄り
という形です。
たとえば一例として、
- 中指:リバース1インチ
- 薬指:1/2インチ
のように差をつける考え方です。
もちろんこの数値そのものが正解と言いたいわけではありません。ここで言いたいのは、短い指側を短い指側として扱う視点があってもいいのではないか、ということです。
狙いはシンプルで、両指のかかり方をなるべく揃え、無理にねじらなくても手がボールの後ろに置かれる状態を作ることです。
段差ドリルの目的は、指抜けを揃えることではなく、手の位置を揃えること
ここはかなり重要だと思っています。
この話を「中指と薬指の抜けを揃える話」とだけ捉えると、少し狭くなります。
本当に見たいのは、そのフィットで手がどこへ置かれるかです。
もし短い指側に段差をつけたことで、
- ボールを持った時に手が後ろへ収まりやすくなる
- 拾いにいく感じが減る
- 小指側へねじらなくて済む
- 結果として軸傾きが安定する
のであれば、その調整には意味があります。
逆に言えば、段差をつけても手の位置が変わらないなら、本質的な改善にはならないかもしれません。
なので、この話は単なる穴位置の好みではなく、持ち方の初期位置をどう作るかという話だと思っています。
こういう人は試す価値があると思う
全員に必要だとは思いません。ただ、少なくとも次のような人は試す価値があると思います。
- フルロールは改善したのに、マイナスチルトだけ残る人
- 投げ方を見直しても、フィンガー付近にトラックが出やすい人
- 指抜けに左右差や違和感がある人
- ボールを持つ時に、無意識に小指側へねじっている感覚がある人
- 手をボールの後ろに置いているつもりでも、実際は寄ってしまう人
逆に、投げ方由来の問題が大きい人は、まずフォーム修正の方が先だと思います。
今回の話は、投げ方を否定する話ではなく、投げ方だけでは治らないケースの話です。
万能な答えではないが、検討されてよい論点だと思う
フィットの話は、どうしても個人差が大きいです。だからこそ、こうすれば全員うまくいく、という言い方はできません。
ただ、自分の中では、フルロールは治ったのにマイナスチルトだけが治らなかったという経験が大きかったです。
この切り分けがあったからこそ、投げ方だけではなく、持ち方やフィットを見るようになりました。
そしてその中で、指の長さ差を無視せず、短い指側に段差をつけて考えることには意味があるのではないかと思うようになりました。
少なくとも、
- 投げ方で治らない
- 持ち方に違和感がある
- トラックが不自然
- マイナスチルトが強すぎる
という人に対しては、「フォームをもっと直そう」だけで終わらず、フィットも見るという視点は持っておいて損はないはずです。
まとめ
- フルロールとマイナスチルトは、同じ原因で起きているとは限らない
- フルロールが投げ方で改善しても、マイナスチルトだけ残ることはある
- その場合、持ち方やフィットが原因になっている可能性がある
- 指の長さ差によって、手の位置がズレていることも考えられる
- 短い指側に段差をつけるドリルは、そのズレを減らすための選択肢になりうる
この話は、まだ「定説」として語るようなものではないと思っています。
ただ、自分の中ではかなり筋が通っている仮説です。だからこそ今後も、投げ方で説明しきれないマイナスチルトやトラックの乱れについては、フィット側からも検証していきたいと思っています。

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