はじめに
ボウリングで「フルロールになってしまう」と感じたことはありませんか?
フルロールはボールの回転軸がほぼ水平になり、地面を這うように転がるリリースのことです。
うまく使えばピンに対して強い回転を伝えられますが、意図せずフルロールになると、曲がりが出にくい・ピンアクションが不安定になるといった問題が起きます。
特に両手投げのプレイヤーや成長期のジュニアは、筋力や体格の変化で無意識にフルロール傾向になりやすいです。
この記事では、
- フルロールの特徴
- 原因
- メリット・デメリット
- 修正・防止のポイント
をわかりやすく解説します。
両手投げがメインの解説ですが、片手投げも同じ理由でフルロールになるので確認してください。
フルロールとは?基本の考え方
「フルロール(Full Roll)」とは、ボールの回転軸が水平に近い状態で転がる回転のことを指します。
手のひらが上を向いたままリリースされ、ボールのトラック(回転跡)が真ん中を通るように見えるのが特徴です。
一方で「セミロール(Semi Roll)」は回転軸が斜めに立ち、トラックがやや外側に寄ります。これによりボールがより“曲がる”軌道を描きやすくなります。
🔹簡単な比較表
| 種類 | 回転軸 | 特徴 | 向いているタイプ |
|---|---|---|---|
| フルロール | 水平(90°付近) | 転がりが強い・直進性高い | 直線系・スピード型 |
| セミロール | 45°前後 | 曲がりが出やすい・安定性が高い | 曲がり重視・回転型 |
フルロールのメリット・デメリット
✅ メリット
- オイルの上をスムーズに走るため、直進性が高い
- ピンに対して強い転がりを与えられる
- 直線的なレーン攻略(ショートコンディションなど)で有効
⚠️ デメリット
- 曲がりの幅をコントロールしにくい
- 手前で転がりすぎて力が抜けやすい(曲がりが折れやすい)
- ピンアクションが安定しない
- 肩・腰に負担がかかる(特に両手投げ)
つまり、意図的に使うフルロールは武器ですが、
「無意識に出てしまうフルロール」はパフォーマンスを落とす原因になります。
なぜフルロールになるのか?主な原因4つ

フルロールになる悪い例
① 体の起こしが強い
前傾した姿勢から上体を急に起こすことで、リリース時に手のひらが上向きになりやすくなります。
これは「体の起こし動作」が強すぎる典型的なサインです。
→ 成長期や筋力増加により、体幹の動きが強く出すぎることも原因の一つ。
② リリース位置が前すぎる
体より前でボールを捌くと、腕が伸びきり、手のひらが自然と上を向いてしまいます。
この状態ではフルロール傾向が強くなります。
理想は体の真横〜やや後ろでリリースすること。
ボールを“前へ押す”よりも“横から送る”意識を持つと安定します。
③ 腰の使い方・体のひねりが少ない
腰を縦方向(起こす)に使うタイプはフルロールになりやすく、
横方向(ひねる)をうまく使うとセミロールを維持しやすくなります。
特に両手投げでは、縦の起こし動作が強くなりがちです。
体のひねり(骨盤の回転)を意識して入れることで、リリース角度が安定します。
④ 手首の角度と抜けのタイミング
手首が早く開いたり、指抜けが早いと、ボールが上方向に回転します。
このとき回転軸が横に寝て、フルロールになります。
対策としては:
- 手首を固定しすぎず柔軟に使う
- 親指がピン方向を向くように抜く
- 「押す」よりも「送る」感覚でリリース
フルロールを防ぐ・修正するためのポイント

修正後の良い例
🔸 リリース位置を後ろに戻す
体の横〜後ろでボールを捌くと、自然とセミロール軌道になります。
鏡や動画を使って「手がどの位置で抜けているか」をチェックしてみましょう。
🔸 体の起こしを抑える
リリース直前に上体を起こしすぎると、手のひらが上向きになります。
フィニッシュまで軽い前傾をキープする意識を持ちましょう。
💡イメージ:腰を吊り上げるのではなく、骨盤をピン方向へスライドさせるように。
🔸 手首の角度をキープ
リリースの瞬間、親指が12時方向ではなく11時方向を向く意識を持つと、
自然に軸が立った回転(セミロール寄り)になります。
🔸 練習ドリル例
- ドリル①:鏡チェック練習
鏡を見ながら手首が開いていないか確認。 - ドリル②:動画スイング確認
スマホでスロー撮影して、リリース位置と手の向きを分析。 - ドリル③:低いフィニッシュ姿勢練習
前傾をキープしたまま投げる練習を繰り返す。
両手投げプレイヤーの注意点
両手投げは、もともと腰の「起こし動作」が大きく出る投げ方です。
成長とともに筋力や身長が変化すると、自然にフルロール傾向が強くなることがあります。
- 成長期 → 腕が伸びる・スイングが前に出やすくなる
- 青年期 → 筋力が上がり、ボールスピードが増す
この変化に合わせてフォームを再調整することが大切です。
特に腰の使い方(縦→横方向への切り替え)を意識すると、フルロールを防ぎやすくなります。
まとめ
フルロールは「悪い回転」ではありません。
意図して使えば直進力があり、特定のレーンでは有効です。
しかし、無意識に出てしまうフルロールは安定性を欠く原因となります。
もう一度、自分のフォームをチェックしてみましょう。
- 前傾をキープできているか
- リリース位置が前に流れていないか
- 手首の角度を保てているか
これらを意識的に調整することで、理想的な回転軌道と安定したピンアクションを取り戻せます。


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