対称コアで仮想マスバイアスを考える意味はあるのか

仮想マスバイアスの解説 ボウリング研究

前置き

対称コアを使っていると、こんな疑問が出てくることがあります。

  • 対称コアには明確なマスバイアスがない
  • なのに仮想マスバイアスという言葉は出てくる
  • だったら、それは本当に意味があるのか
  • 考えた方がいいのか、それとも気にしなくていいのか

結論を先に書くと、意味はあります。ただし使い方を間違えるとボールリアクションが
イメージと大きくズレること
があります。

今回は、仮想マスバイアスとは何かを細かく説明するというより、対称コアでそれを考える価値はどこにあるのか、そして最終的になぜ「答え」にはなり得ないのかを整理していきます。


前提:対称コアには「本物のマスバイアス」はない

まず前提として、対称コアには非対称コアのような明確なPSAはありません。

非対称コアのPSAは、コア形状の非対称性から生まれる物理的な重心のズレです。それに対して対称コアの仮想マスバイアスは、PinとCGの位置関係から仮想的に想定するものであり、そもそも性質が違います。

この違いを踏まえた上で、それでも仮想マスバイアスを考える価値があるのかどうかを見ていきます。


静的要素の中ではサイドウェイトがボールモーションに影響!?

USBCのボールモーション研究では、ボール軌道に強く影響する上位要因の多くはカバーストックや表面に関係する項目でした。RGやトータルディファレンシャルも影響は大きく、対称コアの仮想マスバイアスのような話は、それらより優先順位が下がります。

ただし、ここで「だから気にしなくていい」とは言い切れません。
静的ウェイト系の中で見ると、いちばんボールモーションに現れやすいのはサイドウェイトだからです。

USBCが対称コアで行ったCG配置の比較では、正のCG配置のボールは負のCG配置のボールより、

  • バックエンドで約2枚強い
  • フックの立ち上がりが約1.25フィート早い
  • 全体差としておよそ10%前後の違いが出た

という結果が示されています。

さらに静的ウェイト研究でも、少なくとも1オンス枠で比較した範囲では、有意な差が確認されたのはサイドウェイトだけでした。(ちょっと昔の研究データなので、)
つまり、静的ウェイト全体の影響は大きく見積もるべきではないとしても、その中ではサイドウェイトが最も無視しにくい要素だと考えられます。

ここから言えるのは、
「仮想マスバイアスは主役ではない。けれど、サイドウェイトを通してボールモーションに表れうる要素としては見ておく価値がある」
ということです。

参考資料


では何のために考えるのか:微調整枠としての仮想マスバイアス

私自身は、対称コアの仮想マスバイアスを「独立した強い要素」として見るより、最終的にサイドウェイト差として現れうる微調整枠として見るのが、いちばん実態に近いと思っています。

私の考えでは、研究データは研究データでしかない。と考えています。
正しく理解するためには、方向性を把握すること。
(数値を明示しておいてなんですが、数値でしかない。。)
プレイするのは人間です。
人間が差を感じれるのであれば、それを軽視するべきではないというのが私の意見です。

では、仮想マスバイアスをどう考えればよいか。
それは、微調整枠です。例えば、
ボールの動きを数字で表します。1~100の動きがあり、100の方が動きます。
60くらいの動きをしてほしいなと考えました。

カバー +80
表面加工 -33
PIN-PAP +10

みたいな要素を羅列します。(この段階の合計は+57)
これだと3足りない。

こんな時!!少し仮想マスバイアスを短く設定しておきましょう
!!!!+3!!!!
合計60になりました!!

みたいな位置づけが良いと思います。

要するに微調整性枠としての位置づけに最適だと思います。


よくある誤解

1. 仮想マスバイアスがあるなら、対称コアも非対称みたいに考えていい

これは少し違います。似た言葉なのでそう見えやすいのですが、対称コアの仮想マスバイアスと、非対称コアのPSAは同じものではありません。ここを一緒にしてしまうと、対称コアの理解がズレやすいです。

2. 仮想マスバイアスの位置さえ分かれば、動きが読める

これも危ないです。実際には表面やカバー、投球特性の方が効いて見える場面もかなりあります。仮想マスバイアス=答えではなく、仮想マスバイアス=整理のための一要素くらいで見ておく方がちょうどいいです。

3. 対称コアはシンプルだから細かく考えなくていい

これも半分違います。対称コアは簡単なのではなく、曖昧に理解しやすいのです。だからこそ、仮想マスバイアスのような考え方を持っておくことで、理解の解像度が上がります。


仮想マスバイアスの長さで何が変わるか

一般的な傾向として、仮想マスバイアスを長く取ると先まで走りやすくなり、反応はやや穏やかになりやすいと言われています。ロールアウトのタイミングが遅くなるイメージです。逆に短く取ると、向きがロールアウトがやや早まり、反応も少し早くなりやすいと考えられています。

ただし、対称コアではこの差を大きく見すぎない方がいいです。実際のリアクションは表面・カバーストック・Pin-to-PAPの影響の方がはるかに大きく、仮想マスバイアスの長さはあくまでその中の一要素に過ぎません。「傾向として頭に入れておく」くらいの距離感がちょうどいいと思います。

例えば
2LS:5x1x4(デュアル:10x5x50、VLS:5x1x2)とすれば、
大体の人は曲がりは少し早く出ると思います。

2LS:5x5x4(デュアル:65x5x50、VLS:5x5x2)とすれば、
大体の人は曲がりが少し緩やかになると思います。


仮想マスバイアスを「答え」として使えない、最も根本的な理由はここにあります。

ボールに穴を開けると、静的バランスは変化します。
サムホールとフィンガーホールの位置によって、サイドウェイト、フィンガーウェイト、サムウェイトの配分は変わります。さらに、穴あけによってコアの一部も削られるため、RGやΔRGの値もドリル前とまったく同じではなくなります。

つまり、ドリル前に仮定した仮想マスバイアスは、ドリル後の実物にそのまま対応するものではありません。

ただしここで重要なのは、その中でも実際のボールモーション差として比較的拾われやすいのがサイドウェイトだという点です。
仮想マスバイアスを考える意味があるとすれば、それは“見えない仮想の軸”をそのまま信じるためではなく、最終的にサイドウェイト差としてどう現れうるかを考えるためです。

一方で、USBCのデータを見る限り、その影響も万能ではありません。
静的ウェイトの影響は限定的であり、仮想マスバイアスで想定した効果の多くは、ドリル後の静的バランス変化や他の要素の中に埋もれてしまう可能性があります。

要するに、仮想マスバイアスは単独で動きを決める答えではない。けれど、サイドウェイトをどう捉えるかという入口としては意味がある、ということです。

レイアウト論は、結果に対して後から意味づけが行われやすい領域でもあります。
だからこそ仮想マスバイアスも、厳密な答えとしてではなく、傾向を整理するための思考ツールとして使うのが自然だと思います。


まとめ

  • 対称コアには、非対称コアのような明確なPSAはない
  • それでも仮想マスバイアスという考え方には意味がある
  • USBCのデータでも、効果はゼロではないが優先順位は低い
  • 長く取ると穏やかに先まで、短く取ると早めに反応しやすい傾向があるが、差は小さい
  • ドリルによって静的バランスが変わりコアも削れるため、仮想で考えた位置は実物と厳密には一致しない
  • だからこそ「答え」ではなく「考え方」として使う距離感が、いちばん実態に近い

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