ボウリングボールを使っていると、「最近曲がらなくなった」「奥で動きが弱くなった」「そろそろオイル抜きした方がいいのかな」と考えることがあります。特にリアクティブボールは、投げ込むうちにカバー材がオイルを吸い、動きが少しずつ変化していきます。
そのため、ボールの動きが鈍くなったときに「オイル抜きをすれば復活する」と考える人も多いと思います。ただ、私はオイル抜きに対して慎重な立場です。
投球後にクリーナーで表面のオイルや汚れを落とすことは大切です。しかし、ボール内部に入ったオイルを熱や処理で吐き出させる作業については、そこまで簡単に考えなくてもよいと考えています。
特に、高温になるヒーター系のオイル抜きについては懐疑的です。この記事では、私がなぜ慎重に考えているのかを整理します。
オイル抜きとは何をしている作業なのか
一般的にオイル抜きとは、ボールのカバー材に入り込んだレーンオイルを外に出す作業のことです。方法としては、ボールヒーターで温める方法、温水を使う方法、専用機器で処理する方法などがあります。
海外では「oil extraction」「de-oiling」「detox」「rejuvenate」などの言葉で呼ばれ、オイル抜きという文化は日本だけのものではありません。プロショップ用の専用機器や、オイルを抜くためのメンテナンスサービスも海外に存在します。
ただし、海外でも行われているからといって安全とはいえません。信頼できる資料ほど、温度管理された専用機器を前提にしています。そのため、温度や処理条件が分からないヒーター式のオイル抜きまで、同じように安全だと考える根拠にはなりません。
リアクティブボールはオイルを吸うこと自体が特性
まず前提として、リアクティブボールがオイルを吸うこと自体は欠点ではありません。リアクティブボールは、カバー材の摩擦や吸油性によってレーンと反応します。USBCのボウリングテクノロジー研究でも、ボールのオイル吸収率はボール性能や競技環境に関わる要素として扱われています。
オイルを吸ったからすぐ悪いボールになる、という単純な話ではないのです。むしろ、ある程度投げ込むことで箱出しの強すぎる動きが落ち着き、扱いやすくなることもあります。手前の噛みが落ち着く、動きが丸くなる、暴れにくくなる。そういう変化を「劣化」と見るか「使いやすくなった」と見るかは、ボールの役割や投げる環境によって変わります。
見るべきは「役割を果たせているか」であって「オイルを吸ったか」ではない
オイルを吸ったこと自体を問題にする必要はありません。本当に見るべきなのは、そのボールが今も自分の求める役割を果たしているかどうかです。
以前より明らかに奥で動かなくなった。ポケットに入っているのにピンアクションが弱くなった。同じラインを投げても薄めに入りやすくなった。このような状態であれば、何らかのメンテナンスや役割変更を検討してよいと思います。
ただし、そこに至る原因がオイル吸収とは限りません。表面がテカテカになって摩擦が落ちているだけのこともあります。レーンがオイリーなだけかもしれない。球速が速すぎる場合もある。そもそも、そのボールの性能が今のコンディションに合っていないだけのこともあります。
ボールが曲がらない原因については、こちらの記事でも整理しています。
ボウリングでボールが曲がらない原因は?初心者が見直したいポイントを解説

投球後のクリーナー清掃はやるべき
オイル抜きには慎重な立場ですが、投球後の表面清掃は、ボールを長く使ううえで重要です。投げ終わったあとにボール表面についたオイルや汚れをクリーナーで落とす。これはボールの状態を保つために有効です。
表面にオイルが残ったまま放置すると、次に投げたときの反応も読みにくくなります。ただし、これは表面の清掃の話です。内部に入り込んだオイルを熱や洗浄処理で吐き出させるオイル抜きとは分けて考える必要があります。
クリーナー清掃とヒーター系オイル抜きは、同じメンテナンスに見えてボールに与える負荷がまったく異なります。
高温ヒーター系のオイル抜きを避けたい理由
私が特に避けたいのは、高温になるヒーター系のオイル抜きです。ラウンドワンのボウラーズクラブ特典にも「ボールポリッシャー or ボールヒーター1回無料」という案内があります。サービスとして存在すること自体は公式に確認できます。
問題は、処理後のボールがかなりの熱を持つことです。私が実際に触った感覚では、「この熱でカバー材に影響がないと言い切れるのか」と疑問を持つ程度の熱量でした。ラウンドワンのボールヒーターが必ずボールを傷めると断定するつもりはありませんが、「問題ないと言い切れる根拠もない」というのが正直なところです。
リアクティブボールは、カバー材の表面状態や吸油性で動きが変わる道具です。そこに高い熱を加えて、レーンオイルだけを都合よく吐き出し、カバー材やその他の成分には一切影響がないとは言い切れません。
オイル抜きで出てくる液体は本当にレーンオイルだけなのか
ここが最も気になる点です。オイル抜き後にボール表面に浮いてくる液体は、多くの場合「レーンオイルが出てきた」と解釈されます。
しかし、その液体が本当にレーンオイルだけなのかは、一般ユーザーには判断できません。ボウリングボールのカバー材には、性能に関わる成分が含まれている可能性があります。
可塑剤とは、一般的には樹脂などに柔軟性を与えるために使われる成分です。ボウリングボールのカバー材でも、こうした成分が性能に関係している可能性があります。
熱を加えたときに出てくる液体がレーンオイルだけなのか、カバー材の性能に関わる成分まで一緒に出ているのかは、見た目だけでは判断できません。「オイル抜きで出た液体=不要なレーンオイル」と決めつけるのは早計です。
可塑剤が抜ける温度について
では、何度くらいから可塑剤が抜ける危険があるのでしょうか。ボウリングボールごとに明確な安全ラインを示した公開資料は、現時点では容易に見つかりません。
ただ、Brunswick系のRevivor資料では、オイル除去の加温処理について150°F(約65.6℃)を超えないようにする注意が明記されています。温度管理された専用機器での検証でさえ、無制限に高温でよいわけではないのです。
さらに、可塑剤の流出リスクは温度だけで決まりません。加熱時間、処理回数、カバー材の種類、ボールの年数、表面状態、すでに吸っているオイル量。これらすべてが関係するはずです。処理後に手で持って明らかに熱いと感じるようなオイル抜きは、慎重に考えてよいと思います。
専用機器での検証を高温ヒーター式に当てはめてはいけない
海外には、オイルを抜くための専用機器があります。BrunswickのRevivorに関する資料では、温度管理されたオイル除去処理によってボールの反応が戻ったと説明されています。
ただし、これは特定の条件での検証です。「専用機器で反応が戻った資料がある」ことと、「高温ヒーターで何度もオイル抜きしてもボール寿命に影響しない」ことは別問題です。後者について、十分な根拠は見当たりません。
ボールの寿命を受け入れることも必要
ボウリングボールは消耗品です。使い込むことで表面が変化し、オイルを吸い、動きも少しずつ変わっていきます。その変化をすべて悪いものと考える必要はありません。
投げ込むことで扱いやすくなるボールもあります。箱出しでは強すぎたボールが、少し投げ込むことでちょうどよくなることもある。一方で、明らかに自分の求める動きが出なくなったなら、それはそのボールが役割の終わりに近づいているサインです。
そのときに高温のオイル抜きで無理に延命しようとするより、役割を変える方が自然な場合もあります。メインボールから練習用に回す。オイリー用ではなく、遅くなったレーン用にする。表面加工で調整できる範囲なら調整する。それでも合わないなら、新しいボールを検討する。ボールの寿命を受け入れることも、道具と付き合ううえでは必要です。
オイル抜きより先に確認すること
ボールの動きが弱くなったと感じたとき、まず次の点を確認してください。
・投球後にクリーナーで清掃しているか
・ボール表面がテカテカになっていないか
・表面加工の番手が今のレーンに合っているか
・投げているレーンがオイリーすぎないか
・球速が速すぎて摩擦を受ける前にピンへ届いていないか
・そもそもそのボールの役割が今のコンディションに合っているか
特に初心者の場合、ボールが曲がらない原因をすぐ「オイルを吸ったから」と考えがちです。しかし実際には、レーンコンディションや球速、ライン取りの影響の方が大きいことも多いです。
ラウンドワンのキャンペーンボールが曲がらない理由については、こちらの記事でも詳しく整理しています。
ラウンドワンのキャンペーンボールが曲がらない理由は?原因と対策を解説

また、ラウンドワンのキャンペーンボールの性能についてはこちらで解説しています。
ラウンドワンのキャンペーンボールの性能は?素材・コア・曲がり方を初心者向けに解説

まとめ:オイル抜きは万能ではなく、リスクも含めて考えたい
ボウリングボールのオイル抜きが必要な場面がまったくないとはいいません。温度管理された専用機器を使ったオイル除去で、ボールの反応が戻るケースはあります。
ただし、それを理由に高温ヒーター系のオイル抜きを気軽に行ってよいとはいえません。オイル抜き後に出てくる液体が本当にレーンオイルだけなのか、可塑剤など性能に関わる成分まで影響を受けていないのか、寿命を縮めていないといえるのか。これらの疑問に明確な答えがない以上、私はオイル抜きを積極的にすすめません。
私の優先順位はシンプルです。まず投球後のクリーナー清掃。次に表面状態の確認。必要なら表面加工で調整する。それでも明らかに動きが戻らない場合に、初めてオイル抜きを検討する。その場合でも、温度管理された専用機器を使うプロショップで相談するのが安全です。
無料クーポンがあると使いたくなる気持ちは分かります。ただ、無料だから安全とはいえません。そのボールをまだ大事に使いたいなら、慎重に考えた方がいいです。
投球後のクリーナー清掃は大切です。表面管理も大切です。でも、内部に入ったオイルを無理に吐き出させる処理に対しては、もう少し慎重でいいと思います。ボールは使えば変化し、いつか寿命が来ます。高温処理で無理に延命するより、変化を受け入れて役割を変える。必要なら新しいボールに入れ替える。長い目で見ると、それが自然な道具との付き合い方です。
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